世界の終わりとハードボイルドワンダーランド/村上春樹

2023年最新作の「街とその不確かな壁」で描かれた世界は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の一部を再構成したものである。

世界の終わり〜は私の最も好きな作品群の一つであるが、ほとんど中身を覚えていなかったので、改めて再読してみた。僕は読むには読むがすぐに内容を忘れる。でもそれで良いと思っている。忘れたなら、また新たな気持ちで楽しく読めるじゃないか。

ところで「街とその不確かな壁」は、世界の終わり〜の壁で囲まれた完全な街、夢読みの仕事をする私、一角獣の頭骨に保存された人々の心、全部、そのままだった。世界の終わり〜を読んでいたら、街とその〜は読まなくてもいいくらい。

なぜ書き直さなきゃいけなかったんだろう?9割がた同じ話なのに。

そしてパラレルワールドのもう一方の世界は、世界の終わり〜のほうが断然刺激的で面白い。人生は限りあるものだし、完全新作書いてほしかったなあ。もちろん、そんなのは一読者の勝手な意見で、村上春樹は書き直さなくてはならないと自分で思ってそうしたんだろうけど。

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