敗れざる者たち/沢木耕太郎
プロボクサー、プロ野球選手、マラソン選手、競走馬、自分の仕事としてプロスポーツを選んだ人(馬)は、当然「勝つ」ことを求められる。
モチロン、周囲からの期待よりも重要なのは、自分自身の中で、やり切れたか、完全燃焼できるような闘いができたのであれば、その競技人生は実り多きものとして納得できもしよう。
しかしながら内実は、どんなチャンピオンもいつかは負ける。チャンピオンになれずに競技者人生を終える人も星の数ほどいる。
才能があるけれど心根が優しすぎてとどめを刺すことのできないボクサー、真面目で親や指導者の言うことに従順過ぎて自分の競技外の人生まで犠牲(婚約破棄)にして自殺するランナー、切なくなるようなエピソードばかりの敗者たちの人生が描かれていた。
そしてこれはドキュメンタリー作品なので実在する競技者の話なのだ。
切ない話だが、切なくない競技者などいるのかとも思う。皆、孤独だろうし、全盛期があり、落ちぶれる時が来る。
栄光は過去のものとなり、自分の力が落ちていくのをまざまざと実感する。
それが当たり前だ。でも「やり切ること。完全燃焼しきること。」、これだけは絶対にやったほうがいい。なにかにチャレンジしたら、絶対にやり切る。完全燃焼しきる。そうしないと、人生ツマラナくなり、おかしな方向へいってしまう気がした。
そうだ、僕もやり切ろう。そう思える良い本だった。