(短篇集)螢・納屋を焼く・その他の短編/村上春樹

同時性や相反性(例えば、「インディアンを見たということはインディアンはいないってことです」なんて書いてある)がテーマなんだろうか。

女はプッツリと主人公との連絡を断つ。消える。自分の中でどこにその感情を落ち着かせればいいのか悶々としている主人公、というのが共通していた。

蛍:「自殺した親友」の彼女と久しぶりに会って交流する話。主人公は学生寮住まい。

納屋を焼く:自由奔放で複数の男とゆるく交際している年下の女。その女がアフリカ旅行中に知り合ったスポーツカーに乗る成功者風の彼氏。このカップルと主人公の3人で飲んでいる時、女が先に寝てしまう。その時に女の彼氏が主人公に言う。時々、自分は「納屋を焼く」と。つまり放火であり犯罪だ。そして彼氏は予告する、近々、主人公宅近くの納屋を焼くと。しかし納屋は焼けない。女とも音信不通になる。

踊る小人:象製造工場勤務の主人公が、踊る小人に肉体を貸してダンスホールで意中のマドンナを踊りで魅了する。主人公と小人は賭けをしていて、主人公が言葉を発すると身も心も小人に乗っ取られてしまうというものだが、主人公は賭けに勝った。

小人は革命に関与しており、公安に追われている身である。主人公の踊りは小人が乗り移ったものであると通報があり、主人公は追われる身ととなる。

めくらやなぎと眠る女:片耳に障害のある従兄弟の通院に付き合う主人公。病院で思い出したのは高校時代の主人公の友人とその彼女の話。彼女は入院中で、めくらやなぎという架空の植物の花粉をつけた蝿が人間の女の耳から頭の中に入り肉を食べて眠らせる。

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