名もなき湖畔にて

彼が大好きな鮮魚店のすぐ横を流れる川。この川を数km遡るところに調整池がある。周囲2km程度の池で、ぐるりと池の周りを周遊できる遊歩道がある。

彼は気持ちのいい気候な日、自由な時間ができるとその調整池に向かった。

調整池の周りには高い建物がなくて、日々生活している時には実感できない空の広さが感じられる。その場のもつ開放的な空気感に惹かれている。

正規の遊歩道(幅1mから1.5m程度の砂利道)から時折、脇道として藪の中に細く踏み固められた道を見かける。

いわゆる獣道。獣なんてほとんどおらず(猫くらいか)、モノ好きのランナーやバードウォッチャーなんかがよりワイルドな道を求めて分け入り、踏み固めてできた道だ。

正式な公園ではないし、駅から遠いし、正式な駐車場もないので、所謂ヨソから人がやってくる「お出かけスポット」ではない。

だから、台風一過の秋晴れの週末であっても人影ば疎らである。

ましてや獣道なんて、正規の遊歩道と比べて通る人の数は1/50程度だろう。とにかく誰も通らないし、どっぷりと池や木々に囲まれて、非日常な瞬間を楽しめる。

この場所が家の近所にあってよかった。

ちなみに、もちろん近所に海があれば最高だ。でも川や池や湖もいいなと再認識した。水面に映る空の景色を楽しめるから。

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