百年の孤独/ガブリエル・ガルシア=マルケス

キチガイとも思われる神秘的な能力を備えたジプシーの妄想した壮大な悲喜こもごもの人間活劇。

夫婦、兄弟、親子、愛人、異母兄弟、異父姉妹、恋人、隣人、血の繋がりのあるなし構わず、とにかくブランディア家に関わりのあるあらゆる人がどこまでも孤独で、他者に幻想を抱き、欺瞞と愛憎入り混じる中生きて死んでいく。

100年4~5代続く、一族の物語。

どいつもこいつもどこまでも我が強い。そしてどこまでいっても孤独だ。

名前も祖父母から取ったりして孫や甥や従兄弟と同じだったりするので、読んでいて混同する。じきに判別するのを諦めた。いいんだ、どうせ、個人の物語ではなく、とてもエゴの強い孤独な人々の物語であることに変わりはなく、複数代に渡って同じような悲恋や悲劇を繰り返しているのだから、「誰が」なんてことはあやふやでも問題ない。

要は、彼らは始めから終わりまで一貫して、一人一人が完全に孤独なのである。共同生活しながら、完全に孤独。

誰かに何かを期待するのではなく、かといって自分だけの手仕事にオナニー的に熱中して閉じこもるのでもない、中庸な生き方をすればいいのに、誰もできない。滑稽な人生流転。

まあ、でも、結局、一人の奇人の夢物語だから、さもありなん。

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