その男ゾルバ/N・カザンザキス著、秋山健訳
稀代の破天荒野蛮人ゾルバと、彼を自分の炭鉱の現場責任者兼同居人の相棒として雇用する作家兼資本家の主人公の物語。
とにかくゾルバが破天荒で原始的で魅力たっぷりだ。彼に惚れてしまう。
炭鉱開発のための資材を買いに行かせたら、旅先の女と同棲して資金を使い果たしちゃう。山の用地買収交渉をする教会では、混乱に乗じて大幅値切りに成功して資金の使い果たした分を取り返す。ついでに反乱分子の僧侶を焚きつけて放火させる。買収した山の用地に滑車を造営して木材輸出を目論むが初日の落城式で木っ端みじんに粉砕してしまう。
論理的に話すことは至極苦手。言葉なんてものでは何も伝わらない。
踊るんだ。全身で表現するんだ。
あるいはサンドゥリという楽器で歌う。
これで伝える。頭で考えるような奴は結局何も分からない。人生のこの世の大切なことは愚かにならなければ分からないんだ。
その男ゾルバ、面白かった。痛快な男がいたもんだ。