さようなら、ギャングたち/高橋源一郎
これがデビュー作だなんて信じられない。
散文的な詩なのかな?と思って読んでいると、それらの詩の中の登場人物達はキチンと小説の進行に関与し続けていて、決して作者の瞬間的な思い付きで短い詩の登場人物になっているのではなく、小説としての物語を構成する重大な登場人物になっている。
ただ短い文節それぞれが高橋源一郎の作り出す世界へと読者を引き込んできて、それが詩を彷彿とさせるのだ。
人生初めての詩を書こうとして母の家計簿に「うん(鏡文字) ち」と誤った字で書いて怒られる話、詩の学校での生徒へのメンタリング、銀行に毎日通う老人がテレビを観ながら「止めなさい」と言ってる話が特に面白かった。