チェ・ゲバラの遥かな旅/戸井十月
カストロと共にキューバ革命を成し遂げた助っ人チェ・ゲバラの生涯を描いたドキュメンタリー。
チェ・ゲバラの肖像画はアイコンとして有名だけれど、よく考えたら彼のことをよく知らない。そんなわけで読んでみた。
チェは社会主義こそ最上という理想主義に燃えて、自らを厳しく律し、過酷な任務を遂行していく。
すすんで困難な状況に身を置き、理想のために頑張る姿は崇高といえば崇高である。武士道と通ずるものがある。
下記はチェの人生要約。
チェ・ゲバラはキューバ人ではなくアルゼンチン人である。
当時の一部の若者がそうであったように資本主義を忌み嫌い、社会主義思想に傾倒していった。キューバ人の革命指導者フィデル・カストロと出会い共鳴、彼と共にキューバ革命を起こすために生きると決める。
当時のアメリカ資本に与する一部の富裕層だけが潤う腐敗した政権をゲリラ戦で打ち破り、カストロが政権を奪うと、政権ナンバー2として外交や工業化などを担う。
だがしかし、大国ソ連との二国間関係を巡りカストロ政権内で孤立し、居場所がなくなる。
結局、アメリカから独立できたものの、今度はソ連の意向に振り回される小国キューバ。どこまでも理想主義者であるチェはカストロ政権の現実的な立ち回り方に納得ができないのだ。
最終的に、キューバ革命を起こしたカストロ政権に居場所を失ったチェは南米各国の資本主義社会からの独立を目指すことにする。
しかし、母国アルゼンチンではなくボリビアから革命を始めようとする。
キューバ人カストロが先導したキューバ革命のためのゲリラ戦とは違い、ボリビアで外国人であるチェが革命を起こそうとしても大衆からの支持は拡がらない。
どんどん戦力を削られて、最後はボリビア国軍に捕らえられ処刑された。