BORN TO RUN/ Christopher McDougall

灼熱の荒野やジャングルだとかを150kmぶっ続けで昼夜問わず走るウルトラマラソンの世界。作者は走りたいという本能的欲求に気が付きながらも、実際に走れば身体が悲鳴をあげてしまう一般ランナーだった。これはまさに私と同じ境遇である。

そんな作者は、メキシコの走るために生まれてきたようなタラウマラ族に惹かれ、のめり込んでいく話。

作者だけでなくウルトラマラソンを嗜む人は皆、タラウマラ族に少なからず興味がある。そんなタラウマラ族に狂信的に惹かれて彼らと同じ渓谷に住み始めたカバーヨというアメリカ人。

彼の企みによりアメリカのウルトラランナー達とタラウマラ族達の合同ウルトラトレイルマラソン大会が開催される。これがフィナーレである。

大会参加者はアメリカから参加したウルトラランナー達も、タウラマラ族達も心から走ることを楽しんでいる。

疲労を忘れようとするのでなく疲労を愛している。楽しんでいる。

そう、要は楽しむために走ればいいのだ。息苦しいペースでなく会話が可能なペース。これは私が以前から知っている田中宏暁氏が提唱していたスロージョギングである。

作者のChristopherは物語当初は10kmも走れば脚に激痛を覚えるトホホなランナーだった。しかし、医者やタウラマラ族にまつわる研究者達の話を聞き探求する。何故、走ると身体を痛めるのか?

結果、現代ランニングスニーカーに問題があるとの結論を得る。靴底のクッション性に頼った踵着地走法や、本来持っている人間の足の感覚を奪うネガティブな側面である。

そして作者もタラウマラ族のような人間本来の走法を会得して立派なウルトラマラソンランナーへと進化を遂げていく。

翻って私の場合、まずは自己流で走り込みすぎて身体を痛めた。情報収集して学習しスロージョギング走法を知った。スロージョギングで楽しく走り続けることがでしれば良かった。でも結局スロージョギングでも膝が痛くなって止めた。で、それからずっと水泳を続けている。

でもこのBORN TO RUNを読んで、また走りたくなってきた。

人間は本来走るために生まれてきたんだし、僕は走ること自体はとても好きだ。どこも痛くならないのであれば景色や風を感じていつまでも走っていられる。

人間は走るために生まれた。長く走り続けるために進化したのだ。ちなみに四足歩行動物は一歩ごとに一呼吸しかできない(走るために胴体が収縮し、それに合わせて肺も収縮するから)、また、人間のように汗をかいて体温を下げることができない。なので長い時間、早く走ると息が続かなくなるか、体温が上がり過ぎて倒れてしまう。

ちなみに私が購入したルナ・サンダルの開発者であるベアフットテッドとタラウマラ族のマヌエル・ルナのサンダル作成エピソードも登場してくる。自分が使うものにこのような物語性があると、特別なものになる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です