山下清画集 (1981年) ノーベル書房
1981年当時の定価で3万円の画集。
大作が目白押し。
山下清の放浪記「ぶらりぶらり」シリーズを2冊読んで、いつか大型の画集を手に入れたいと思っていて念願がかなった。
とっても良い画集だ。
買って良かった。
奇をてらったところが微塵もなく、いやらしさがない。
職人的な律儀さで小さくちぎった色紙や点描で一枚の絵が構成されているわけだが、遠くからみても細部を見てもどこにも破綻がない。
障害者のアート作品には少なからぬ関心がある私だが、どこかに底しれぬ暗さや怖さを感じることも多い。
しかし山下清の作品にはそういった負の感情を微塵も感じない。
そして、静かで、ちょっぴり間抜けな空虚感がある。画の前で呆けて、飽くことなく眺め続けていられる。
良い画集だ。