すべての装備を知恵に置き換えること 石川直樹
極限状態の苛烈な自然環境に身を置く旅をすることで、生きる実感を得る。旅こそ生きることと見つけたりな著者のエッセイ集。
題名の「すべての装備を知恵に置き換えること」とは、パタゴニア創業者より直接薫陶を受けた言葉。
旅や冒険というのは、文明の利器を使ってひたすらに便利にすることも可能だからこそ、彼らはできる限りモノ(装備)を削り、知恵で乗り切る。それでこそ、冒険において人間の感覚は研ぎ澄まされ、自然と相対し、通じ合うことができるのだ。
私は命の危険のあるほどの南極踏破やヒマラヤ登山には興味はないが、自然の中にたった一人自分だけがいて、死ぬも生きるも自分次第な状態が好きという点には親近感を覚えた。
まあ、僕の場合は、死ぬような危険は不要で、誰もいない大自然、特別な景色、適度な運動、大量の水(海、湖、川、プール、温泉)があり裸になれる(衣服という日常からの開放)、酒と食、音楽などで旅の喜び、生きる喜びを得られるので、はるかに安上がりである。(命を賭する必要がなく、喜びは無限大である)
そんな私だから、今も次にどこへ旅に行こうか思案中である。