アフリカにょろり旅 青山潤
ウナギの産卵場所を特定したとして世界的に有名な東大の研究室に所属の著者らが、アフリカに生息する個体のサンプルを捕まえるために敢行した2ヶ月以上に渡る研究旅行記。
実態はバックパッカーの貧乏旅行。しかも己の欲望に任せて居心地の良い場所を流転する旅行者のそれではなく、科学の発展、研究のために目的は唯一「ウナギの個体採取」であるから、居たくないところ過酷なところにも耐えなければならない。
過酷だ。
ウナギはなかなか見つからない。
成果が出ない日々の中でもがく。
心折れずに足掻き続ける。
私は当事者の話を本で読んでいるだけだからか、彼らの冒険研究旅行は、そこまで悲壮感はなく、どことなく楽しんでいるような感覚も覚える。
冒険自体を目的とするのでなく、研究などの目的がまずあり、研究するために冒険せざるを得ない。
それが非常に愛すべき物語に昇華されている。
ウナギの資源枯渇は鰻の蒲焼き、肝吸いを心から愛する私にとって非常に興味深いトピックである。
著者の研究が進み、完全養殖のできる世界が実現されることを願って止まない。