飯島和一 汝ふたたび故郷へ帰れず

負け犬ボクサーが自身の不遇を呪い、くさって自暴自棄になる。
不思議な廃人再生工場を経て、幼少の頃住んでいた最南端の離島に戻り、自分自身を見つめ直して、周囲のサポートを実感し、復活を遂げる。

大切な人の死がどん底の男に生きる意味を自問自答させる。
卑屈さはない、開き直りが清々しい。

集英社の傑作小説大全「復活する男」に収録されていた本作を読んだ。まさに復活する男が主人公である。ボクシングを観戦したくなった。
飯島和一の作品は、黄金旅風を読んだことがある。男同士の絆、友情を書かせたら本当に最高な作家だと思う。この「汝ふたたび・・」も、人生どん底の主人公の周りに、かくも心の清く優しい男たちがいる。心の交流にじんわりと心を動かされた。

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