日本人とユダヤ人/イザヤ・ベンダサン
日本で生まれ育ったユダヤ人著者による比較文化論。
日本人の気質を端的に表した部分もあり始めのうちはフムフムと興味深く読んでいた。
しかしながら、段々とユダヤ人の歴史背景についての著者の怨念のこもった力説が鼻についてきて後半になると飛ばし飛ばしで読まざるを得なかった。
対岸の火事。
面白かった説だけ備忘のためにメモ。
いずれの意見に対しても、日本人である私からしたらあまりにも一面的で身勝手な意見だと反論したくなる。でもまあ、著者はこんな意見を腹に抱いて、苦労して悲しい思いを沢山して日本で暮らしてきたんだなと思う。可哀想だよね。
・「全員一致の議決」は日本では「正当性を保証」を意味するが、ユダヤでは「その決定が正しいのなら反対者がいるはず。全員一致は偏見か興奮の結果か、外部からの圧力であり、決定は無効」と考える。
・日本人は口が軽い。言う必要のないことまで言う。腹を割って話す、竹を割ったような性格。相手に気を許せば何でも話してしまう。それが日本人。ユダヤ人から言わせれば「相手を信用することと、何もかも話すことは別。話したことで相手に迷惑をかけることもあるのだし、相手を信用して秘密にしておくこともある」。
・ユダヤ人=遊牧民は積極的に勤勉に働く必要がない。忠実な管理者として羊を見守っていればいい。果ての見えないことがら(ユダヤ人のイスラエルへの帰郷)を「待つ」ことができる。日本人=農耕民は気候的特徴もあり計画に基づいた季節ごとの作業が必要である。ノロマは無能、やる気がないのは大罪。果ての見えない事柄を「待つ」ことはできない。