吉原御免状/隆慶一郎
隆慶一郎の処女作。
初めて書く小説がこれ。隆慶一郎氏はまさしく不世出の天才作家であろう。
今まで氏の作品を読んできて男と男の魂の交歓を書いたら最高と知っていたが、太夫や尼僧と主人公誠一郎との性を中心に添えた表現も品があって艶ぽく、なんとも味わい深いものであった。
驚くべきは、この時点で既に徳川家康影武者説が確立していた点である。
それに明智光秀が実は生きていて天海僧正となり、影武者家康を支援したという説も披露されている。
氏の旺盛な想像力、点と点をストーリーとして繋げて線にする構想力、臨場感たっぷりに読者の前に世界を現出させる描写力、素晴らしい時代小説エンターテイメントを今作でもまた堪能できた。
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