繚乱 黒川博行

不祥事を起こして退職した元大阪府警の暴力団対策係の刑事二人。伊達と堀内。

競売物件の入札にあたって、当該物件のしがらみを調査するのが伊達の現在の仕事であり、昔の相棒堀内も誘ってデカイ案件に取り組むことにした。

この小説のメインとなる競売物件は20億円のパチンコ屋。この競売案件に絡んで一儲けを企む経済ヤクザ、暴力団。

この元刑事二人は暴力団を全く恐れておらず、ボコボコにして、コケにする。喜々として暴力団を凹ませる。経済ヤクザのような切れ者達を向こうに回して一歩も引かず、物件が競売にかかるまでの経緯、債権の回収スキーム、邪魔者を葬り去った狙いや実行方法などを丹念に情報を集めることで明らかにしていく。

経済ヤクザ、暴力団、それに協力する警察天下り者や現役警察官。在日朝鮮人、シャブ中のホステス、愛人、チンピラ、闇医者。
強いものに巻かれる奴がいて、お金に執着する奴がいて、裏切る奴がいて、殺す奴と殺される奴がいる。

対人戦闘能力がべらぼうに強い伊達、常に冷静で女性をうまく利用する堀内。

良いコンビである。関係者に実際に会いに行き、話を聞く。当然、本当のことを言うとは限らないので、脅したり、金で釣ったりしながら、自分たちが欲しい情報を相手から引き出して、経済ヤクザの描く全容を解明する。

面白かった。

ただ、”伊達”という名前、ガタイのいい強面の二人組、ということで脳内でお笑い芸人サンドイッチマンの二人のビジュアルが湧いてきてしまって頭から離れなかった。”伊達”という名前でなければ違った読書体験になったかもしれない。

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