秋田温泉一人旅 自己責任で楽しもう 奥奥平八郎温泉

玉川温泉で宿泊後、更に北上して奥奥平八郎温泉へ向かった。

私は現地に行くまで知らなかったのだが、ここは国有林内に自然に存在している温泉であり管理者はいない。いわゆる野湯である。

そういう意味では、一本松温泉たっこの湯と同じである。

しかし奥奥平八郎温泉は周囲にロープが張られており、森林管理署長名義で「温泉に入っても事故には責任を負わない」との立て看板がある。明らかに歓迎されていない様子である。

そのためか、国道から脇道に入りどんどん細い道へひいては未舗装の山道を行くのだが、その道中、案内板の類が一切ないのである。そして、Google Mapのナビも、まだ奥奥平八郎温泉に着いてもいないのに「到着しました」と無情にも案内を途中で終了する。しかし、その後も道は分岐するのである。分岐点には一切の案内がない。手がかりになるものが何もない。

私は分岐点で停車し「どうしたものか」と思っていたら、幸いにも林野での作業帰り風の軽トラに乗った地元のおいちゃんが目の前からやってきた。山道は細いので互いにスピードを緩め、私は道を開ける。2台の車がすれ違う際、窓を開けておいちゃんに奥奥平八郎温泉への行き方を尋ねたら「左行って、また左だな」と教えてもらい、無事、迷うことなくたどり着けた次第である。

左右両サイドが森であった道中、いきなり右手に視界が開ける。

森がその部分だけぽっかりとなくなった感じだ。6コース25mプール程度の大きさで、先に書いたようにロープで周囲を囲まれている。

一見すると工事現場のようだ。

しかし、その場所、茶色い地面には、4つほど1~3人が快適に入浴できそうな穴が開いており、そこに湯が満ちている。

一番大きな穴は直径2m程度の円形で、そこから大量の温泉が湧出してきている。源泉温度は45度くらいだろうか。その源泉を他の浴槽(穴)に分配していく方式である。当然、源泉穴から遠くに位置すればするほど温度がぬるくなる。

この日は10月初旬の午前11時頃で天気は快晴。源泉の隣の浴槽(穴)がちょうどいい湯加減40度程度だったので、居心地が良かった。

源泉に直接浸かる。広い地球の大地において湯が湧き出ている場所は貴重だ。しかもその湯がちょうど人間にとって良い塩梅の温度であり、温泉を楽しむに足る充分な湯量であることは相当珍しい。レアである。

そして完全未開拓なのも素晴らしい。開発されてしまって、お湯だけ生かした温浴施設なんかにされていなくてよかった。ここはなんせ森林管理署によると侵入&入浴が非推奨であるからして、完全な自然のままの姿。

私も当然、自然な姿で温泉に浸かり、直射日光を全身に浴びて外気浴、近くの清流(もちろん水は清冽で冷たい)や木陰でクールダウンと理想的な無限ループを好きなだけ楽しむことができた。

気が付けば時は12時を回っている。腹が減った。

裸のままコンロで地場の野菜と比内地鶏でトマトソースを作りそれをツマミにビールを飲む。いわずもがな最高である。

私の理想とする人間の根源的な生活。

裸で、野外で、歩き、踊り、温泉に浸かり、風を感じてまどろみ、メシを作り、食べ、酒を飲み、眠る。

パスタを茹でてシメにする。

腹を満たしたら、昼寝である。

秋田駅で借りたレンタカーのナンバーは1169(いい69)、ふふふ、いい69したいものだ。一緒にこんなプリミティブ(原始的)な旅を楽しんでくれる彼女がいたらいいなぁ。

裸で、野外で、歩き、踊り、温泉に浸かり、風を感じてまどろみ、メシを作り、食べ、酒を飲み、SEXをして、眠る。

にしたいものである。

残念ながら今回の度に彼女は連れてないので、レンタカーの後部座席両側のドアを開けっぱなしにして眠った。

どれくらい時間が経ったのか。

車を出て、裸でフラフラと歩きまわる。

かれこれ5時間は裸でいる。裸でいることのほうが自然に思えてくる。

この感覚を覚えると、満喫した気分になる。

15時を回ると、山は夜の準備モードに入る気がする。

陽が直接、山間(やまあい)に届かなくなる。木々の影が濃くなる。

最後、また温泉に浸かり、絶え間なく湧き続ける温泉を目と肌で直接味わい、至福の境地にいたったのであった。

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